健康コラム
健康に関する情報や知っておくと役に立つ情報等を医師の視点からお伝えします。
第30回

臓器の老化⑩

老化対策を支える栄養と運動

臓器や身体の老化を考えるうえで、「栄養の摂り方」と「運動」は重要なテーマです。一般的に、過剰なカロリー摂取は肥満を招き、様々な病気のリスクを高めることが知られています。そのため、65歳頃まではカロリーを意識しながら、適度な食事を心がけることが大切だと考えられています。そして、高齢になると「しっかり食べること」が推奨されます。過去の研究では、中高年以降は十分なたんぱく質を摂る人のほうが長生きする傾向が見られました。しかし、筋肉量が減少する「サルコペニア」の状態になってからたんぱく質を増やしても、若い頃のような筋力や体力を取り戻すのは容易ではありません。だからこそ、年齢を重ねてから対策するのではなく、できるだけ早い段階で適切な栄養を摂り、運動習慣を身につけることが必要になります。

たんぱく質を味方にする健康習慣

食事は、ついカロリーが気になり、脂質や炭水化物ばかりに意識が向きがちですが、特にたんぱく質を中心とした食事を心がけることが重要です。たんぱく質には満腹感を得やすくする働きがあるため、自然と食べ過ぎを防ぎ、過剰なカロリー摂取を抑えることにつながります。また、おかずをしっかり食べる食習慣が身につけば、糖質の摂取量も適度に抑えられ、インスリンの過剰分泌や肥満の予防にも役立ちます。健康な身体を維持するためには、たんぱく質を意識したバランスのよい食事を取り入れ、あわせて適度な運動を継続することが大切だと言えるでしょう。
慶應義塾大学 予防医療センター 伊藤裕先生
原稿執筆

慶應義塾大学 予防医療センター 特任教授
伊藤 裕(いとう ひろし)先生

京都大学医学部卒業後、ハーバード大学、スタンフォード大学医学部博士研究員を経て、慶応義塾大学医学部教授を務める。2003年に世界で初めて「メタボリックドミノ」を提唱。世界に先駆けて胃から分泌される「グレリン」がミトコンドリアを元気にすると発見。メディアに多数登場。