健康コラム
健康に関する情報や知っておくと役に立つ情報等を医師の視点からお伝えします。
第27回

臓器の老化⑦

どの臓器から老いやすい?

そもそも老いとは「臓器の疲れ」であり、その根本にはミトコンドリア機能の低下があります。臓器が老化するのは、そこでエネルギーを生み出すミトコンドリアが疲弊するからであり、臓器ごとに一律の老化順序は無いものの、「ミトコンドリアが多く存在する臓器ほど老化の影響を受けやすい」ということです。とりわけ腎臓と腸はミトコンドリア量が多く、また膨大な血液を日々処理し、血液中の酸素や栄養素を使って常にミトコンドリアをフル回転させているため負荷が大きい臓器です。そのため、わずかな変化でも影響を受けやすく、この2つの臓器が衰えると全身にその影響が及ぶと言われています。

腎臓と腸は“臓器のペースメーカー”

つまり、腎臓と腸は全身の“臓器のペースメーカー”のような存在であり、ここが老いることで他の臓器の老化も加速するという、臓器間のある種ヒエラルキー(組織などで上下関係や重要度の順位を示す言葉)のようなものがあります。また、腎臓は「一度悪くなると機能が戻りにくい」と一般的に言われますが、それは悪化が進んだ段階だけを見ているためで、もっと早い段階から対処すれば改善の可能性はあります。次号以降、腎臓や腸を守るために大切なことなどをお話していきます。
慶應義塾大学 予防医療センター 伊藤裕先生
原稿執筆

慶應義塾大学 予防医療センター 特任教授
伊藤 裕(いとう ひろし)先生

京都大学医学部卒業後、ハーバード大学、スタンフォード大学医学部博士研究員を経て、慶応義塾大学医学部教授を務める。2003年に世界で初めて「メタボリックドミノ」を提唱。世界に先駆けて胃から分泌される「グレリン」がミトコンドリアを元気にすると発見。メディアに多数登場。