第17回

高齢者と食事の栄養①

50代と70代では食事へのスタンスを変える

これまで本連載を通じ、私たちが生命活動を行う上で欠かせないエネルギーを産生するミトコンドリアを活性化するためには、食べ過ぎず、空腹の時間を作ってあげて、胃から「グレリン」というホルモンを分泌させることが大切とお話してきました。しかし、それは50代、せいぜい、いわゆる高齢者、65歳くらいまでのお話で、60代後半、特に70歳以降になると内容が変わってきます。最近、皆さんもメタボリックシンドロームの危険性について知っていて、「肥満になると良くない」「70代になっても太ってはいけない」と体重の増加を後ろめたく感じている人は結構多いと思います。しかし、70代になったら基本その考え方は必ずしも正しいわけではないと思ったほうが良いでしょう。

70代は食べる量を落とさないように気を付ける

“70代は食べる量を落とさないように気を付ける
70代になると太ることができなくなってきます。むしろ体重が減ってくるほうが怖いです。毎日しっかりと食べて、食事から様々な栄養素を摂ることを心掛けましょう。何を食べたらダメ、何を食べたら良いということよりも、もともとその人が70代まで元気にいられたということは、それまでむちゃくちゃな食生活をしてこなかったからだと言えます。そういう意味では、自分が食べてきたものに対して、それは良かったんだという自信を持ち、食べる量を落とさないように保っていくのが大原則かもしれません。あとは自分で作ってみることも有効です。食事を作るとなると、どんな食材を選ぶのか、それをどうコーディネートしていくのか考えないといけないので、認知症予防にもつながります。ただ、作るのが面倒になってしまい、食べる全体量が減ってしまうと食べる全体量が減ってしまうと逆効果なので、そこは気を付けましょう。
慶應義塾大学 予防医療センター 伊藤裕先生
原稿執筆

慶應義塾大学 予防医療センター 特任教授
伊藤 裕(いとう ひろし)先生

京都大学医学部卒業後、ハーバード大学、スタンフォード大学医学部博士研究員を経て、慶応義塾大学医学部教授を務める。2003年に世界で初めて「メタボリックドミノ」を提唱。世界に先駆けて胃から分泌される「グレリン」がミトコンドリアを元気にすると発見。メディアに多数登場。