米国救急医療(ER)専門医として、24時間・365日すべての救急患者を受け入れる現場で数多くの患者と向き合ってきた阿部みな子先生。現在は拠点を日本に移し、新たな医療の潮流である「ライフスタイル医学」の研究・発信を行っています。健康寿命を伸ばすために必要なこと、クリニックにも置いてあるというJWティーについて伺いました。
24時間・365日すべての患者を受け入れる米国救急医療(ER)の現場。
私が医師を志したのは、やはり父※の影響が大きいです。医師である父を子どもの頃から見ていて、人を助ける仕事に就きたいなとすごく感じていました。その後、米国カリフォルニア州の大学に入り、最初は医学以外のことも勉強したいと思ったこともあったのですが、路上生活者のためのフリークリニック(無料診療)などのボランティア活動を通じて、改めて医療の道に進みたいと決意するようになりました。そして、ニューヨーク市とニュージャージー州で合わせて15年間救急医療(通称ER:Emergency Roomの略で救急救命室という診療スペースを意味する)で働くことになったのです。日本と違って米国の救急医療は誰が来ても診なくてはいけないと法律に定められており、そこは24時間・365日すべての救急患者を受け入れる超過酷な現場。今で言えば、コロナ患者であってもです。そんな環境でしたが、一方でとてつもないやりがいも感じていました。いろんな人種の方が訪れ、本当に貧しい方からものすごくリッチな方まで幅広く受け入れ、平等に患者さんと向き合えるところが好きでした。親に虐待された子どもが緊急搬送され、亡くなってしまう現場などに立ち会うと非常につらい思いをしましたが。
人の体の「再生する力」を利用した免疫療法に取り組む。
今は夫と子どもと日本に戻り、父が理事長を務める東京キャンサークリニックのマネジメントをサポートしています。他にはカウンセリングや遺伝子分野、再生医療ラボでの研究も行っています。再生医療とは、人の体の「再生する力」を利用して、元どおりに戻すことを目指す医療です。例えば、一般的に私たちの体内では毎日約5,000個ものガン細胞が生まれています。それを日々やっつけてくれているのが「免疫細胞」です。特にガン患者さんなどはその機能が低下してしまっています。ラボでは、採取した患者さんの血液をもとに免疫細胞が効果的に働くようなワクチンを製造し、治療にあたります。父の研究チームが開発した同ワクチン製造に係る一連の特許は日本を始めとした米国・ドイツ・フランス・イギリスなど世界14ヶ国(都市)で取得しています。
日本と米国の患者さんの違いで言うと、日本の患者さんは最終的にするかしないかは別として、お医者さんの言うことを割と素直に「はい」と聞く方が多いです。米国の患者さんからは血液の採取1つとっても、きちんとした説明を求められたりします。どちらも一長一短あると思いますが、日本の患者さんには自分の命なので、セカンドオピニオンをとることも検討しながら治療を進めていくことも大切かなと考えます。あとは、できるだけ諦めない気持ちを持つこと。ガン患者さんであれば、「もう無理」と諦めた瞬間に本当に一気にガンが進行したりするからです。心の持ちようは無視できません。
約8割の患者が生活習慣の見直しで病気を予防できた?
現在、私は新たな医療の潮流となっている「ライフスタイル医学」の研究・発信も行っています。米国で始まったライフスタイル医学は、エビデンスに基づいたアプローチでライフスタイル関連疾患の治療・予防を目指す考え方です。その背景には、世界的に長寿社会となり、生活習慣と病気を切り離して考えられなくなってきたという状況があります。世界で最も高齢化社会が進んでいる日本で言えば特にです。
ライフスタイル医学に取り組むようになったきっかけは、私の経験がもとにあります。実は米国時代に今より22キロも太っていた私は、日本に帰国してから体重を減らしていく過程でライフスタイルのことを独自で勉強し、論文にもまとめようとしていました。その流れで米国でもライフスタイル医学という分野が出始めていたことを知ったのです。データに基づいたライフスタイル医学の研究を経て私が深く感じたのは、疾患を抱えている約8割の患者さんが生活習慣を見直すことで予防できたのではないかということ。ある病気の遺伝子的リスクを生まれながらに抱えていたとしても、周りの環境や生活習慣など後天的なリスクのほうが影響はずっと大きい。例えば一卵性双生児であっても、一人はガンで亡くなり、もう一人は認知症になったけれどずっと長生きしたというケースはよく見られます。
健康寿命を伸ばすポイントは、食事・運動・睡眠・ストレス解消。
私が考えるライフスタイル医学の中で「健康寿命を伸ばす」ために必要なポイントは次の4つ。①食事、②運動、③睡眠、④ストレス解消。ちなみに健康寿命とは、医療・介護などの支援を受けず元気に自立して過ごせる生存期間のことです。
1つ目は「食事」。やはり野菜をたくさん摂ることを心掛けたいですね。いま日本人に最も足りていないのは食物繊維です。厚生労働省によると、成人男性は1日21g以上、成人女性は18g以上の摂取が望ましいとされていますが、実際の食物繊維の摂取量は20歳以上の平均で1日あたり15gと、多くの方の摂取量が足りてないのが現状です。特に水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになり、善玉菌を増やしてくれます。それに伴い免疫力を上げられるだけではなく、「幸福ホルモン」とも呼ばれるセロトニンの約90%は腸内からできているのでメンタルヘルスにも役立ちます。
一方、タンパク質の摂取量は推奨の数値(成人男性60g、成人女性50g)を一般的な食事で上回っているようです。炭水化物は量の問題というよりも、玄米や全粒粉のパンなど、精製加工されていないものを選ぶと良いでしょう。
2つ目は「運動」。今より少しでも多く体を動かすことができたら良いですね。平均的には1週間に歩く程度の身体活動で150分程度の運動が推奨されています。もしくは息が弾み、汗をかいたりする多少きつめの運動は75分程度が目安でしょうか。あと、最近特に良くないのがパソコンに向かってデスク前に座りっぱなしの状態。せめて1時間おきには立って歩き回ったほうが良いです。多機能のスマートウォッチでアラートを出してくれるものもあります。
3つ目は「睡眠」。人によって差異はありますが、7~9時間を寝ることができたら理想的ですね。世界的に見ても、日本人の睡眠時間はすごく短い。ただ、コロナ禍になってから少し全体的に伸びたらしいです。深い眠りの時に免疫力が上がるので、睡眠不足は体調を崩したり、ウイルスに感染しやすくなったりします。米国のある実験では、わざと風邪のウイルスを鼻の中に入れられた被験者のうち、7時間以上の睡眠をとった方は17.2%しかうつらなかったのに比べて、5時間未満の方は45.2%が風邪の症状が出たそうです。
4つ目は「ストレス解消」。日々の生活の中で知らず知らずのうちに気分が落ち込んでしまう場合があります。その時は「マインドフルネス」のような瞑想にトライしてみるのも良いでしょう。マインドフルネスは過去の経験や先入観などの雑念にとらわれず、この瞬間の気持ちや身体的状況をあるがまま受け入れる手法です。あとは、人と人とのつながりを大切にすること。孤独感を抱くことが死亡リスクを高めるというデータもしっかりと出ています。仕事から家に帰って子どもがワァワァ騒いでいると疲れを感じてしまったりするんですけど(笑)、せっかくの夫や子どもと過ごせる時間を大事にしたいですね。
EOSとコラボし、ライフスタイル医学に基づいたオンライン講演会を配信。
私がJWティーを飲み始めたきっかけは、父が東京キャンサークリニックの受付に置き始めたからです。「このお茶が美味しいね」といつも言ってくださる患者さんもいます。私も飲んでみると、美味しいし、飲みやすいし、体の内側からじんわりと温まる感覚を得ました。特に今の寒い季節には、体を温めるのは免疫力アップにもつながりますよね。患者さんの中にもJWティー開発者のジェイソンさんのストーリーを読み、かなりインパクトがあったらしく飲みたいと言ってくれた人もいました。
また、最新研究で「内臓脂肪」が増えすぎると内臓脂肪の組織に炎症が起き、それが全身に広がって慢性炎症が起こり、ガンや心臓病など様々な病気のリスクが高まることも分かっています。内臓脂肪を溜め込み過ぎないためにも、日頃からJWティーのようなお茶を活用するのも良いと思います。ジュースのように糖質が多く含まれる高カロリー飲料は急激な血糖上昇を招き、最も内臓脂肪を増やしやすくすると考えるからです。
今後、私はEOSとコラボレーションして、ライフスタイル医学に基づいたオンライン講演会をお届けしたいと考えております。人生100年時代に向けて、健康寿命を伸ばすために必要な知識・考え方をお伝えし、予防の大切さを認識していただく内容となっております。ぜひご覧くださいね。
阿部 みな子 先生
カリフォルニア大学バークレー校卒業後、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校医学部卒業。ニューヨーク市とニュージャージー州で15年間救急医として働く。コーネル大学ワイル医科大学臨床医学助教授、アルベルト・アインシュタイン医科大学臨床医学助教授、コロンビア大学医学部の准教授を務める。ニュージャージー州のオーシャンメディカルセンターで2013年フィジシャン・オブ・ザ・イヤー受賞。現在は、父の阿部博幸先生と共に東京キャンサークリニックを拠点に活動する。
オンライン講演会の案内
阿部みな子先生とEOSがコラボレーションしたオンライン講演会は2022年1月下旬から複数回に分け、定期的に配信します。これからの健康・ライフスタイルを考えるうえで必要な知識・情報をお伝えし、予防の重要性と具体的な方法を学べる内容になっております。
東京キャンサークリニック
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