たつの ゆりこさん(Be born助産院/産後養生院院長)インタビュー

“ゆらぎ世代”に訪れる心身の乾き体の内と外から潤いを届ける

水と空気がキレイで、富士山を望む八ヶ岳に助産院を構える、たつのゆりこさん。産む世代の女性たちだけではなく、“ゆらぎ世代”と呼ばれる閉経前後の女性たちの性の健康にも寄り添った「女性院」を目指します。 女性たちに潤いを届けるべく活動を続けるたつのさんにJWティーについてもお伺いしました。

骨を刺激することで女性ホルモンを整える

現代人は昔に比べて体を動かすことが少なくなってきたので体がカチコチです。指圧マッサージを受けられる方は多いと思いますが、それでは追いつかないと考えます。私の施術法としては、骨を軽く叩いて刺激し、揺らしてあげる。そうするとマッサージ効果が高くなります。皆さんの中には不登校のお子さんで悩まれている親御さんもいらっしゃるかもしれません。あるお茶会で知り合いのお母さまが「ウチの娘が不登校で、今日も学校に行かなくて」と悩まれていたので、私の助産院に連れてきてもらいました。その子に少し触ったら、体全体が冷えていました。「PMS(月経前症候群)」です。生理前はホルモンの関係でむくみますから、体が重いんです。だから起き上がれないし、やる気が起きない。娘さん本人は分かっているんだけれど、お母さまにはちゃんと伝えていない。ただ「学校に行きたくない」しか言わないので、親子喧嘩になってしまっていた。そこで私が考案した柔らかめの木槌で、娘さんの全身の骨を叩いて刺激してあげたのです。最初は体が硬いので「痛い、痛い」と言っていたのですが、徐々にほぐれてきたのか、スースーと寝息を立て始めました。とても疲れていた。骨刺激をすると、まず緊張が緩和されます。特に かかと を刺激してあげる。踵周辺には生殖器の反射句があるので、女性ホルモンのバランスを整えてくれます。体全体が緩んできたところでマッサージに入ります。

閉経前後の10年間を“ゆらぎ世代”と呼ぶように

副腎をしっかりと機能させることも大切です。副腎は、腎臓の上に位置する約2~3㎝の小さな臓器。高齢者がよく「精が出ますね~」なんて言いながら、腰の上の辺りをトントンと叩いている光景を見たことがあると思います。それは無意識に副腎を刺激しているのです。副腎を刺激すると、ストレスに対抗するホルモンの「コルチゾール」が活性化されますので、ちょっとしたストレスに耐えられるし、馬力が出てエネルギーが湧いてきます。あと副腎を守るためにはしっかりと寝たり、休息をとったりすることが大切。仕事は仕事できちんとしなければなりませんが、重要なのはオンとオフの切り替えです。

以前は、主に50歳前後の女性のホルモンバランスが大きく変化する症状を「更年期障害」と呼んでいましたが、今は症状を抱える人が多すぎて、閉経前後の10年間の世代をまるごと“ゆらぎ世代”と呼ぶようになりました。ゆらぎ世代の名の通り、自律神経が不安定な状態。体の良い 塩梅 あんばい を取るホルモンが乱れやすいので、何かあれば治療院に通ったり、環境を変えたり、「他力」に頼ることも必要でしょう。今は「セルフケア」がブームですが、自分で頑張り過ぎて症状を悪化させている人も見受けられます。もっと色んなものに甘えて良いと思います。私も、もともと東京で助産院をしていたのですが、2021年に八ヶ岳に移転し、生き返ったような気がします。水と空気がキレイなだけで、こんなに元気になるのかと。来てから肌ツヤも良くなりました。

自然と調和しながら健康的に美しく年を重ねる

施術する側の立場としては、こちらのパワーもかなり必要です。来院された方に何気なく触った時点で、二人の間のエネルギー交流は始まっています。私が疲れていると、施術の効果が半減してしまいます。そういう意味では、八ヶ岳に来てから、私の調子がどんどん上がっているので、東京で高価な器具を活用していた時より、触って骨を刺激して揺らしているだけで、「あれ? もうほぐれてきた」みたいな感じです。

女性も更年期を迎え、段々と年を重ねてくると体の水分量も減り、全身が枯れてきます。細胞レベルで硬くなり、ヒアルロン酸、コラーゲン等も少なくなってきます。その状態で骨刺激をすると、若干の痛みがあります。例えば、水分を含んだ高野豆腐は叩いても弾力性がありますが、カラカラの高野豆腐を叩いたら割れてしまいます。人の体も一緒です。乾ききって、やせ細っている人の骨刺激の場合はオイルを使って潤してあげたり、優しめに施術することを心掛けます。最近、日本でも注目されているアーユルヴェーダは5000年の歴史があるとされる世界三大伝統医学の一つ。「自然と調和しながら健康的に美しく年を重ねること」を目的とするため、「若返りの医学」とも呼ばれています。そのため、アーユルヴェーダでは、人間の体にあるすべての穴をケアすること、潤してあげることが非常に重要と考えられていて、体を若く美しく健康に保つためには穴のケアを日常的に行う必要があるとされています。

心のデトックスで顔の表情まで穏やかに

  1. 綿棒にオイルをたっぷりつけて、鼻の穴の中に塗る。指で行っても良い。
  2. 両方の鼻の穴にオイルを塗ったら、頭を大きく後ろにそらせて鼻の奥までオイルを浸透させる。口の中にオイルがたれてきたら吐き出す。
出典:『ちつのトリセツ』

アーユルヴェーダでは、オイルケアを行うのは朝がもっとも望ましいとされていますが、仕事や子育てで朝のケアが難しいなら、夕方や夜でも大丈夫です。今回は、皆さんが普段しない鼻のケアを紹介します。マッサージ用オイルは色々と市販されていますが、かなり量を使うので、惜しげなく使えるお財布に優しいものが良いでしょう。アーユルヴェーダが推奨するスキン用セサミオイルか、化粧品グレードのスイートアーモンドオイルは、どちらも入手しやすく、お値段もそれほどではありません。鼻は脳の下垂体につながり、女性器とも深い関係があります。自律神経やホルモンバランスが不安定な人は毎日行いましょう。鼻をケアすると脳の働きが活性化され、視覚や聴覚にも良い影響を与えます。

また、「体の具合が悪い時には何を摂ったらいいですか?」と必ず聞かれるのですが、最初に体の中に溜まっている老廃物を抜かないと、上質な栄養を摂ったとしても吸収されません。まず消化・排泄を心掛けましょう。あとは心のデトックス。家庭を持つ世の女性が抱えるストレスの多くが夫だったりしますよね(笑)。夫には面と向かって言えないことも、私には言えたりします。不満はあっても共存していかなければならないので、抑え込んでしまう。そこを溜め込まないで、きちんと吐かせる。愚痴をとにかく言って、言って、言わせて、こちらも同調してあげる。そうやって怒りの感情がやわらぐと、顔の表情まで穏やかになってきます。ある来院された女性の方は、帰宅したら「なんか可愛くなったね」と言われたと喜んでいました。男性もパートナーに1日1回は「可愛いね」「素敵だね」と伝えてあげなければダメですよね。そしたら女性はもっと頑張る力が湧いてくるんだから。JWティーのようなお茶を飲む時間を持つのも心身のリラックスに良いでしょう。

助産院から「女性院」へ悩める女性に寄り添う

あとは骨盤底筋がおとろえてくると、尿もれや便秘などが起こりやすくなります。骨盤底筋のケアとしてマッサージの他に「よもぎ蒸し」も良いです。よもぎ蒸しは、下半身を中心として全身によもぎの蒸気を浴びることで体の芯を温め、発汗し、乾いていた骨盤底筋に潤いを与えます。最近では、よもぎの代わりにJWティーを活用すると、発汗効果がさらに高く、単なるサウナよりも肌がツルツルします。また、来院された方々にJWティーを飲んでもらった中で驚いたのが、尿もれしにくくなったこと。もしかしたら九州大学の研究発表にあったように、 括約筋 かつやくきん のミトコンドリアが活性化されたのかもしれません。

私自身、忙しい時ほど本当にたくさんのJWティーを飲みたくなります。この前セミナーの準備でバタバタしていた際は、普段2袋分くらいしか飲まないのに、6袋分は飲んでいました。日々慌ただしく、乾燥しがちな女性ほど、このお茶が必要ではないでしょうか。そして、ナトラプロテイン。女性ホルモンが減少すると、骨密度が減ってきます。運動すれば減少を防げるのですが、時間がなかなか取れない方はナトラプロテインのようなサプリを摂取するのも良いと思います。今、助産院は子どもを産むところというイメージが強いですが、昔は産婆さんばさんがいて女性の 万屋 よろずや 相談所みたいな場所でした。今後は名前を「女性院」に変えて、悩める女性たちの心と体に寄り添っていきたいですね。

たつの ゆりこ さん

助産師/看護師/鍼灸師。1960年鹿児島県生まれ。大学病院から助産院、自宅出産と幅広く勤務経験を持つ。鍼灸師としてアロマテラピーと鍼灸を統合した治療室を開設。女性と子どものための治療室「Be born治療室」を開設。全国的にアーユルヴェティック・ベビーマッサージの普及活動を行い母子支援に従事。2017年出版の監修書籍『ちつのトリセツ』はロングセラーとなり、膣ケアの第一人者となる。同時に更年期女性の健康相談室を開設し、2021年12月山梨県北杜市に「八ケ岳 Be born助産院・産後養生院」を移転。

たつのさん監修書籍

たつのさん監修書籍
『ちつのトリセツ』1,540円(税込) 径書房
ジェイソン・ウィンターズ・ティー