1970年代、数々の音楽番組に出演し、歌手として活躍した千葉マリアさん。長男の薬物依存をきっかけに、現在は依存症者を支援するリハビリ施設や有機農作物を育てる農場を運営しています。今回は次男の真沙史さんと共に薬物依存者を家族に抱えることの苦労話や「イオスあさいち」とのコラボレーション企画、JWティーについても語っていただきました。
家族が突然、薬物依存者に
マリア 現在私は歌手活動の他、女性のためのお酒や薬物依存からのリハビリ施設「S.A.R.S千葉」、有機畑で農作物を育てる「マリア農場」の代表を務めています。リハビリ施設を始めたきっかけは、長男の晃太郎が薬物に依存してしまったこと。私たち家族にとっては「青天の霹靂」で、何かおかしいなと思った時には、すでに重症化していました。
真沙史 そうですね。薬物依存者はみんな隠れてしているので、家族も気付かないことが多いです。隠しているのに周りが変だなと思い始めるくらいですから、その時には相当症状は進んでいると考えていいと思います。兄に症状が表れた時、私は高校生で16歳くらいだったでしょうか。
マリア 長男を薬物リハビリ施設に入れるのもすごく困難でした。本人は病気ではないと思っていますから。薬物依存者の家族の中には、家族が黙っていればいいだろうと考える人もいますが、携帯電話等がある限り薬物を販売している人たちとつながれてしまうので、強引にでも施設に連れて行かないと回復は見込めません。ウチもある時、長男が包丁とまな板を持って出掛けたのを見たと真沙史の同級生から聞いた際に、これはもうダメだなと思いました。それで精神科に通わせたり、入院させたり、私もできる限りのことをして少し症状が収まった時に偶然、薬物依存者のための日本初の民間リハビリセンター「日本DARC」創設者の近藤恒夫さんと出会ったのです。状況を伝えると、「よし、じゃあ明日連れてきなさい」と。その言葉だけで救われた思いでした。ただ、施設に送り届けるのもひと苦労。途中で車を止めさせて、「あのビニールハウスを見てきて」とか、少し道が分からなくなると「お袋、これは僕が行くのを神様が止めているんだ」とか言うわけです。結構、口は立つ。だから施設での回復後には、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』に出演したりしても、割と流暢にしゃべっていました。
真沙史 私自身は当時、薬物や依存症について全く知りませんでした。兄は少し変な人なんだなくらいにしか認識していなかった。でも、いよいよおかしくなってきて、例えば追跡妄想と言うんですけれど、「あそこに女の人が立っているから見てきて」とか、実際にはそんなことはありません。結局、薬物依存ということが分かって、「ああ、病気だったのか」と。
マリア 長男はリハビリのために沖縄ダルクで約3年を過ごし、施設長にもなっていました。再会した頃には元気な姿になっていて驚きました。その後、袖ヶ浦ダルクを経て、千葉県館山市にある精神科を持つ病院と接点を得たことから、一人で乗り込み、自分の力で「館山ダルク」を立ち上げてしまいました。そういう行動力はあります。現在も館山ダルクの代表として約130人の同じ境遇に苦しむ人たちのサポートを続けています。
真沙史 兄は男性専用のダルクなのですが、世の中には女性向けの依存症リハビリ施設が少ないということで、私と母で女性用リハビリ施設を立ち上げました。立ち上げの頃は東京・目黒の自宅で24時間体制。希望者が多く人数が増えてしまった時は、私たちの居場所がなくて台所で寝たりしていました。それで、もう体が持たないと思っていたところに兄から「館山なら環境が良いよ」と聞き、館山に移住することになったのです。
食事も生活スタイルも自然体のオーガニック
マリア 館山でのリハビリ施設以外のもう一つの取り組みとして、有機畑で農作物を育てる「マリア農場」を運営しています。私もこれまで子宮頸がんや脳梗塞を経験し、手術の後遺症も結構つらいものがあったので、体の健康を維持するためにオーガニック中心の生活をしていたことがきっかけです。
真沙史 今、マリア農場では来年の「イオスあさいち」での販売に向けて、干し芋用のサツマイモを育てています。基本的に作業は農場長の林さんを中心にお任せしているのですが、ようやく4,000本の定植が終わりました。有機栽培は認証を得るためのルールが厳しく、すべて手作業です。サツマイモ自体は今年9月~10月頃に収穫の予定です。芋掘りは、兄の施設の入寮者の方々にも手伝っていただこうかなと考えております。収穫後、2ヶ月くらい冷蔵庫に入れ、温度と湿度調整をして熟成させます。そこからサツマイモを機械で蒸し、カットして乾燥機に入れる。私たちも知らなかったのですが、最後に冷凍することで自然の甘みが出て美味しくなります。最終的にパッケージ化して皆様のもとにお届けできるのは来年2月頃になると思います。有機で安心・安全、大変美味しい干し芋になると思いますので楽しみにお待ちください。
マリア 私も75歳を迎えて、体の上から下まで具合が悪いのですが、体に摂り入れるのはオーガニック、有機のものを意識しています。食事も生活スタイルも自然体が良い。もはや化粧もしませんし、ありのままで人に受け入れてもらうというか、それが一番楽なのかなと思います。歌手の時はかっこばかりつけていたので。何しろかっこつける仕事じゃないですか。フジテレビ『夜のヒットスタジオ』とかもよく出していただきましたが、当時はすべて生放送で失敗は許されない。だから、そういうのに疲れちゃったんですよね。現在は、なるべくオーガニックな生き方をしようと思って。それが健康にもつながるのかなと。あとは運動で、外に出たら可能な限り歩くようにしています。JWティーも健康法の一つです。ウーロン茶ベースで自然の香りがして、とても美味しいですね。
真沙史 ウーロン茶ベースだから飲みやすいんですよね。ハーブと聞いたので、もっとクセがあるのかと思っていたら、自然と体に吸い込まれていく感じです。
マリア 実はJWティーは、イオスさんから直接購入するだいぶ昔にどこかの有名デパートで買ったことがあるんです。お茶としてはいいお値段だったので、きっと何か価値があるのだろうと思いました。あと、なぜか箱のおじさんの笑顔にすごく惹かれたのもあります(笑)。今回改めて巡り合って、あの時のお茶だということはすぐ分かりました。健康に良いお茶なら、飲めばいいわけですから簡単です。一回作ってリビングに置いておけば、家族みんなで飲めますし。
愛を持って依存者を手放す
マリア そう言えば、JWティーにはセージの成分が含まれているんですよね。リハビリ施設では、私と同じような依存者の家族のために「サルビア家族会」というものを立ち上げています。サルビアはセージの一種です。花言葉を調べたところ、「家族愛」と出てきたのでピッタリだと思いました。依存者の家族は、自分が薬物をしているわけではないので、理解ができず苦しむことが多いです。その中で重要なのは、「愛を持って依存者を手放す」ということ。逃げてきたところを匿ったり、お金を渡してしまったりすると、症状はどんどん進行してしまいます。進行性の病気であり、治らない病気です。元タレントの田代まさしさんも家族会に来てお話してくれましたが、いまだに「もう2度と薬物に手を出しません」と言い切ることはできないと仰っていました。1回でも手を出せば、頭から薬物が離れず、魂に入ってしまうようなもの。それが依存症です。
真沙史 薬物依存症は精神科での治療になります。私たちの施設もお医者さんと連携していますが、基本的に寮では治療プログラムをもとに見守ることしかできない。仲間同士で、薬物やアルコール依存によりどれだけ人生が壊れてしまったか話し合うことで、手を出さない1日を積み重ねていくしかないのです。
マリア ともすると、リハビリ施設は厳しい場所になりがちですが、私たちが目指すのは「自由なハウス」。どこに出かけても、何を食べても、何をしてもいいじゃない。ただ、「帰る場所はここ」というハウスを作りたいと思っています。女性用リハビリ施設には現在、約60人います。もし来年できた干し芋を皆さんに購入していただけたら、私すごく気前が良いので、入寮者の子たちに美味しいものを食べさせたり、いろんなことをさせてあげたいなと思っています。皆様ぜひご協力のほどよろしくお願いいたします。あと、大阪にも女性用リハビリ施設を立ち上げましたので、何か困ったことがあったらご相談ください。
千葉 マリア さん
本名:十枝みつ(とえだ みつ)。1949年千葉県生まれ。1971年シングル『薔薇の涙』でデビュー。第2弾『恋は波まかせ』ではバリ島キャンペーンを大々的に行い注目を集めた。歌唱力に定評があり、作詞を寺山修司、久世光彦、湯川れい子など、そうそうたる面々が担当した。2023年にはシングル『人間万歳ブルース』を発表。現在は、有機畑で農作物を育てる「マリア農場」、女性用リハビリ施設「S.A.R.S千葉」の代表も務める。