2022年に1番売れた書籍『80歳の壁』の著者である精神科医・和田秀樹先生。35年にわたる高齢者専門の臨床経験から「我慢ばかりを強 いる今の医療は免疫力を下げてしまう」と訴えます。人生を楽しみながら心と体の元気を目指す方法、イオス商品「ナトラプロテイン」「JWティー」についても語っていただきました。
高齢者ほどメンタルが重要になる
私は35年にわたり、高齢者専門の精神科医を務めてきました。「老年精神科」と言って高齢者に物忘れなどが始まった時に認知症か否かの診察をしたり、うつ病を抱える高齢者は結構いるのでカウンセリングをして薬を出したりしていました。高齢というと、多くの方が糖尿病や高血圧、あるいは肩や膝の関節痛などについて心配されます。しかし、実は高齢者ほどメンタルが重要になります。例えば、日本は自殺大国と言われますが、60歳以上の高齢者の自殺は全体の4割近く(厚生労働省調べ2022年は38.9%)にのぼるほどです。
1万人を超える高齢者と接してきた経験から言えるのは、老化は足腰などの「肉体の老化」よりも先に「感情の老化」から始まるケースが多いということです。感情の老化は、まず気力の衰えや意欲の減退という形で表れます。50代後半頃からなんとなくやる気が出ない、新しい仕事や付き合いが面倒になる、仲間うちの飲み会に出るのも億劫に思うことが増えてくるようになります。実は、こうした気力や意欲の衰えは、加齢による脳内の変化が大きく関係しており、①前頭葉 の萎縮、②男性ホルモン(テストステロン)の減少、③神経伝達物質(セロトニンなど)の減少、 ④動脈硬化、と主に4つの変化によって引き起こされます。
気力や意欲が低下し、メンタルを崩す4つの要因
①前頭葉の萎縮
自発性や感情機能を司る前頭葉の萎縮が進むことで、気力や意欲の低下に加え、感情をコントロールする機能も衰えるため、ちょっと怒るとブレーキがきかなくなります。高齢になると怒りっぽくなるのは、前頭葉の萎縮が関係すると言われています。
②男性ホルモン(テストステロン)の減少
特に男性に多いのが、テストステロンという男性ホルモンの減少です。定年後の男性が人付き合いが億劫になり、次第に家に引きこもりがちになるのも、男性ホルモンの減少が影響していると考えられます。一方、女性は男性とは逆に、更年期を終えた頃から70代くらいまでは男性ホルモンが増えることが分かっています。女友達とランチしたり、習い事や旅行に積極的になったりしていくのは、男性ホルモンの増減が関係しているわけです。
③神経伝達物質(セロトニンなど)の減少
高齢になるにつれ神経伝達物質である「セロトニン」も減少していきます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、これが増えると活動意欲が増進し、幸せな気持ちになります。逆にセロトニンが不足すると、心のバランスがとりにくくなり、イライラを招くうえ、うつ病の原因にもなります。
④動脈硬化
動脈硬化は脳の血管でも起こります。脳の動脈硬化では、自発性の低下や泣き出すと止まらなくなるなど、感情に振り回される「感情失禁」を起こしやすくなります。
70代からの食事はたんぱく質ファーストで
「精神神経免疫学」という研究では、大きなストレスを抱えていたり、不安や気力の低下などで心の状態が悪かったりすると、免疫力が弱り様々な疾病が進展しやすくなることが分かっています。また、高齢者の健康に対する不安を掻 き立てる一因となっているのが健康診断です。健康診断では血圧や血糖値やコレステロール値など、様々な数値を測り、正常・異常を診断し、異常値があれば医師から「肉を控えなさい」「もっと痩せなさい」などと指導されます。しかし、そもそも「異常値=病気」ではないのです。
確かに60代くらいまでは、塩分の摂り過ぎも太り過ぎも、健康を損なう原因になるかもしれません。しかし70代、80代の高齢者の場合には、その常識を見直したほうが良いと思います。というのも、高齢者が血圧や血糖値を気にして食事制限をしているうちに、食が細くなり気付かないうちに低栄養状態となってしまうことも少なくないからです。ですから、70歳を超えたら、よほど重症の糖尿病や高血圧でない限り、食事制限をするよりも、好きなものを食べたほうが良いのです。
なお、60代・70代で食欲がなくなった時は、うつ病の可能性もあります。加えて、栄養状態はうつ病を発症・悪化させる原因にもなります。特に「たんぱく質」を摂らなくなるとセロトニン不足になりますから、うつの状態が悪化してしまうのです。また、私たちの体のあらゆる部分にたんぱく質は存在しており、筋肉、皮膚、臓器、骨、毛髪などの主要成分はたんぱく質です。さらに、体の機能を調整するホルモンや酵素の材料でもあり、免疫力を高めることにも役立っています。そして、炭水化物や脂質と同様に、体を動かすエネルギー源ともなっています。1日に推奨されるたんぱく質の量は、男性は15~64歳が65g、65歳以上が60gとなっています。一方、女性は12~17歳が55g、18歳以上は50gとされています。例えば、目安としては卵1個、木綿豆腐1/3丁、納豆1パック、豚肩ロース肉100g、塩サバ1切れをすべて食べると、これらの食品に含まれるたんぱく質の量は合計で56gになります。決して食べられない量ではありませんが、毎日続けるにはたんぱく質をかなり意識して食事に取り入れる必要があるのが分かるでしょう。
栄養不足を補うためにサプリや補助食品も活用
毎日の食事で必要な栄養をすべて摂取できるのが理想ですが、バランスの良い献立を考えて調理するのは簡単なことではありません。食事だけでは必要量が取り切れない場合もあります。また、栄養バランスについて厳密に考えすぎると、料理が面倒になり、食べることへの意欲が低下してしまいます。そうなっては本末転倒というものです。不足している栄養素があれば、サプリメントや栄養補助食品で補うのも良いと思います。
最近、私も知人から紹介され「ナトラプロテイン」を摂るようになりました。基本的にたんぱく質(=プロテイン)は、夜にたっぷり摂るより朝と昼にたくさん摂るのがおすすめです。たんぱく質の代謝に関わる肝臓は早朝から働き始め、午前11時くらいにピークを迎えて、午後2時くらいまで活発に働いています。特に日本人は朝食にたんぱく質が足りていないので、私は朝にナトラプロテインをヨーグルトに混ぜて食べています。腸内環境を整えることにもつながりますし、味もきな粉テイストで、日本人好みに仕上がっていますね。
また、高齢者ほどメンタルの健康が重要ということを考えると、「ジェイソン・ウィンターズ・ティー(JWティー)」のようなお茶を飲む時間を持つことも心身のリラックスにとても良いと思います。さらに九州大学とイオスの共同基礎研究で行った「ミトコンドリア活性」の研究結果を踏まえれば、免疫力が上がる可能性もありますし、今年64歳を迎える私も飲ませていただいています。
我慢をやめて、 人生を楽しむ!
自分にとって、何が幸せかは人によって異なるでしょう。現在70代として、人生100年時代だとすると、余生は20~30年あることになります。その残りの人生を好きなもの、美味しいもの、楽しいものを我慢して生きるかどうかは人それぞれです。健康に良いとされる食生活を心掛けて生きていくことは悪いことだとは思いません。ただ、私は今、毎日好きなものを食べ、趣味のワインも楽しんでいます。5年前に血液検査をしたところ、血糖値が600mg/dLを超えていました。いわゆる糖尿病です。しかし、高齢者専門医としての経験上、糖尿病のほうが認知症になりにくいことを知っていたため、食事制限やインスリン注射は行いませんでした。その代わり、1日30分程度散歩をするようにしたのです。すると、血糖値も下がり始め、歩いて軽く汗をかくのも気持ちの良いものだと感じるようになりました。
私が提案する健康法は従来の常識とは大きく異なります。しかし、高齢者の専門医として1万人を超える高齢の方に接してきた私が、この目で確かめてきた方法です。もうこれ以上、我慢も無理もしないでください。70歳を超えたら我慢をやめ、自分の食べたいものを食べ、したいことをしましょう。面白そうなこと、楽しいことは前頭葉を刺激し、活発に動くようになります。自分の最期を迎える際に「ああ、楽しい人生だった」と思いたいなら、ぜひとも実践してみてください。
イオス提供のラジオ番組が毎週オンエア!
50代からの人生が仕事に趣味に学びにと、日々の生活をこれまで以上に楽しんで豊かな実り多きものになるよう「オトナ世代」を応援する番組です。お悩み相談も受け付けます!
番組名:『恋せよ!オトナ オトナ世代応援ラジオ』
放送局:文化放送(FM91.6/AM1134)
放送時間:毎週土曜28:00~28:30(日曜午前4:00~4:30)
出演者:パーソナリティ 和田秀樹先生
アシスタント 水谷加奈アナウンサー
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和田秀樹先生からの一言メッセージ
和田 秀樹 先生
1960年大阪市生まれ。灘中-灘高-東大医学部卒業(1985年)。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、35年にわたり老年精神医学の専門家として高齢者医療に携わる。1987年著書『受験は要領』がベストセラーになって以来、大学受験のオーソリティとしても知られる。2007年劇映画初監督作品『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀作品賞受賞。『80歳の壁』(幻冬舎新書)は2022年に1番売れた書籍となった。「エンジン01文化戦略会議」幹事長、日本ソムリエ協会名誉ソムリエを務める。