田中 智幸さん(心和(しんわ)水産代表)インタビュー

人間は自然に生かされる小さな存在
        その恩恵なしでは海苔1つ作れない

海苔業界に確かな存在感を示す心和しんわ 水産代表の田中たなか 智幸ともゆき さん。祖父の代から続く海苔師の三代目として、手掛ける海苔の深い味わいは高く評価され、国内だけではなく、ドバイでも指折りの高級ホテルで提供されています。海苔づくりに込めた想いや人間が生かされている「自然」に払うべき畏敬の念、JWティーについてもお伺いしました。

世界有数の最大6mの 干満差を利用した 海苔養殖

福岡県柳川市有明海で最大6mもの干満差を利用した海苔養殖をしています。日本の海では差が大きくても1~2mのところ、6mは世界有数の干満差です。心和水産が所属する大和漁業協同組合では古くから海苔養殖をたね の培養から行っています。とても手間のかかる栽培方法なので、このような方法で養殖しているのは、全国でも1割ほどしかありません。海苔の赤ちゃんの生態から把握し、栄養豊かな有明海で養殖をした海苔は口溶けが良く、甘みと有明海の優しい海を感じられるように仕上げています。

海苔ができるまでの工程の第一段階は、「種づくり」です。皆さんご存知ないかもしれませんが、海苔の種は牡蠣の殻の中で育ちます。3月末に牡蠣殻に糸状体しじょうたい という海苔の胞子を植え付けると枝を張り、夏から秋にかけてその枝に胞子を作っていきます。海水の温度が24℃を下回ると牡蠣殻から殻胞子という海苔の種が放出されます。海苔網にこの種を付着させることを、採苗 さいびょう と言います。採苗が終わったら、主に2つの方法で海苔を育てていきます。浅瀬に立てた支柱に海苔網を2mのロープで固定して育てる「支柱式養殖」と、海苔網に浮きをつけて育てる「浮き流し養殖」です。私が海苔場としている有明海は遠浅の海なので、干満差を利用した海苔養殖本来の支柱式を採用しています。9月には各海苔師が海苔を育てる場所を決める抽選が行われ、そこに長さ約10mのグラスファイバーの支柱5000本を1ヶ月かけて手作業で海底に打ち込んでいきます。とても力のいる作業です。

干出
海苔網を海面の上に出して光合成する「干出」。

また、美味しい海苔ができるまでの大切な作業として、養殖の合間に「干出かんしゅつ 」という作業を行います。これは海苔網の高さを調節し、風や太陽に網ごと海苔を干すものです。6mの干満差を利用し、満潮の時には海の中で二酸化炭素を吸収し、干出の際に太陽の光を浴びることで光合成をし、栄養を作り出します。海苔の芽が15~20㎝くらいになったら収穫します。海苔の収穫はたいてい11月中旬から翌年の4月頃まで続きます。

紙のように薄い 海苔に栄養が凝縮

海苔は日本人にとって伝統的な食べ物の1つ。一説によれば縄文時代から日本人は海苔を食べていたのだとか。様々な料理に使われる海苔には多くの栄養素が含まれています。その中でも代表的なのが、「たんぱく質」です。全体の約40%を占めるほど、たんぱく質が豊富なのです。たんぱく質は筋肉や皮膚、骨など体を作るために不可欠な栄養素であり、新陳代謝や免疫力を高める働きもあります。次に多く含まれているのが「食物繊維」。割合としては全体の約30%が食物繊維でできており、野菜などに含まれる食物繊維と違って柔らかいため、胃や腸の壁を傷つけることなく穏やかな整腸作用を促します。それ以外にも、貧血や動脈硬化の予防に加え、胎内の赤ちゃんの成長に必要な「葉酸 ようさん 」、DNAの生成に必要な「ビタミンB12」を摂取することができます。

父から掛けられた 「よー、手入れしとんね」 のひと言に涙

より美味しくツヤのある海苔に仕上げるため、冬場の深夜にも海苔を摘み取る作業を行います。最盛期には1週間で平均1、2時間しか寝ることができず、体がきついことも多いのですが、ニコニコわくわくと仕事をしている私の姿を見た妻からは「海苔養殖はあなたの天職やね」とよく言われます。祖父が始めた海苔養殖を父が継ぎ、私も高校を卒業したら当たり前のように継ぐつもりでしたが、実は両親からは結構反対されたのです。当時、海苔業界は落ち込みが厳しく、「安定的な公務員になりなさい」と。大学推薦の話も受けていましたし。ただ、私はどうしても海苔養殖を生業 なりわい にしたい気持ちが強く、両親を説得し、父と海に出ることになりました。仕事は想像よりも数倍キツかったですが、もともと口数の少ない父からアレコレと指示されるわけでもなく、見守ってもらいながら甘えさせてもらった気がします。25歳からは海の仕事を任され、ようやく人に負けない海苔が作れるようになったと自信を持ち始めた30歳の頃、妻が体調を崩し、久しぶりに父に海の仕事を手伝ってもらう機会がありました。海の作業から戻ると父がひと言だけ、「よー、手入れしとんね」と声を掛けてくれ、初めて褒められたその言葉に涙が止まらなかったです。

昔から「世界中の人に私の海苔を食べた瞬間に笑顔になってもらうこと」が夢で、海苔で皆さんを幸せにできたら、こんな嬉しいことはないですね。実は、今年5月に驚きの出来事がありました。私の海苔を以前から気に入り「こんな美味しい海苔は海外に売り出さんと」と仰ってくださっていた京都の方から唐突に連絡があり、「田中さん、ドバイにつながったよ!」と。何事かと思ったら、ドバイでも指折りの高級ホテル「ブルガリ ホテル&リゾーツ ドバイ」の和食シェフが私の海苔を料理に使いたいということでした。少しずつですが海外にも取引が広がっています。

50年後、100年後の 海苔養殖を守るために

私の仕事は自然相手なので、思うようにいかないこともすごくあります。海に出たい時に時化しけ て出られなかったり、作業中に死ぬような思いをしたりすることも何度もあります。その中でも、七転八起しながら一所懸命に自然と向き合っていると、結果というものは後から付いてくると感じています。「今年も美味しい海苔が取れた!」と思えた瞬間、それまでの苦労が報われた気がします。また、体がつらい状況でも海の水平線からお天道様が上がってくる神々しさや、満月に海が照らされて光の道ができる風景を眺めていると、自然に携わり、海苔師をしていて良かったと思わせてくれます。

しかし一方で、自然環境の問題も切実です。今、本当に自然の力が弱くなったと感じています。どこの漁師に聞いても、「昔に比べて海の生き物が少なくなった」と言います。人間が都合の良いように水の流れを き止めるなど、自然の循環を壊してしまっている影響も大きいです。海は生命の源。豊かな海を維持するために私たちができることは何なのか、そういった役割にも取り組みたいと考えています。人間は自然の中に生かされている小さな存在。全国の海苔師が集まる「海苔サミット」でも、「海苔養殖の技術があっても、海がないと私たちは何もできん。海を守らなければ」と若い海苔師たちに訴えています。私ひとりの力は微々たるもの。自分の想いを伝えることしかできません。しかし、先頭で声をあげることはできます。その想いが消費者の方々を含めて広まっていくことで、問題を解決するスピードが速くなると信じています。50年後、100年後の海苔養殖を守るために。

JWティーのおかげで 孫が笑顔を取り戻した

健康に関して、私自身はあまり気にしたことがなく、孫のほうが心配でしたね。孫はアレルギー反応が一般の人の5倍くらいひどくて、野菜しか食べられません。保育園も「万が一、アナフィラキシーを起こしたら責任が持てない」と、あらかた断られてしまって。そんな中でも唯一受け入れてくださった保育園での給食の様子を見ると、孫がひとりだけポツンと離れて別のものを食べていました。それを見た時にかわいそうで、何とかしてあげたいと思いました。

病院も薬も症状を抑えることしかできない。体質を変えなければと漢方やサプリを探していた時に、熊本県の方がJWティーを出して「これ不思議なお茶だから、飲ませてみます?」と言うのです。最初は「日本のお茶ではないんだ」と思ったのですが、不思議なお茶というところに何か直感が働いて、まず私が飲んでみようと考えました。飲み続けて2ヶ月くらいした時に、冬の海にも関わらず手が温かいままでいるというのを感じました。夜熟睡できたりと、本当に不思議なお茶だなと。冷え性がひどい従業員も「それなら飲みたい」と飲み始めたくらいです。あとは、同級生で親友の奥さんが抗がん剤治療中にJWティーとバイオプラスを飲み続けたところ、かなり落ち着きを見せたようで、親友が泣きながらお礼の電話をしてきました。

これだったら孫にJWティーを飲ませても大丈夫かなと思ったのです。飲んで数ヶ月後、不思議な健康茶のおかげか、今ではだいぶ周りの友達と同じようなものを笑顔で食べることができています。その時に、これは他のお茶とは異なると確信を持ちました。そして恩返しのつもりで、JWティーを多くの人に伝えていかなければならないと思ったのです。海苔サミットでお会いする佐賀、熊本、愛知、宮城と全国の海苔師も飲んでくれるようになっています。「海苔業界みんなで健康になろう!」と呼び掛けています。

田中さんが作った「ばら干し」海苔

田中さんが作った「ばら干し」海苔「有明の芽吹き」1,058円(税込)

生海苔をそのまま乾燥。有明海の香りと食感を楽しめる至極の逸品。あさいちでも大好評販売中!

田中さん

田中たなか 智幸ともゆき さん

1969年福岡県生まれ。祖父の代から続く海苔師の三代目。福岡県柳川市で海苔養殖を行う心和水産の代表を務める。35年以上の海苔師経験から、全国から100名を超える海苔師が集結する「海苔サミット」でも一目置かれている。2023年から国内だけではなく、ドバイの高級ホテル「ブルガリ ホテル&リゾーツ ドバイ」でも海苔の提供を行う。

ジェイソン・ウィンターズ・ティー