書道界の芥川賞とも称される“手島右卿賞”を受賞し、海外での個展も企画するなど、気鋭の書道家として注目を集める中澤希水さん。書と向き合う上で心掛けていること、奥様で女優の熊谷真実さんと夢中になって飲んでいるというJWティーについて伺いました。
「技術鍛錬を繰り返し行え」、師匠の教えを受け古典臨書に明け暮れた日々。
書道家の両親のもと、私は物心つく前から筆を握り、書に一筋に打ち込んできました。高校卒業後は全国から書道家を志す学生が集まり、日本トップクラスの教授陣と施設が揃う大東文化大学に進みました。ちなみに私の両親も同じ大学出身で、2人はそこで出会って結婚し、私が生まれてまたそこに行くという(笑)。大学卒業後、新たな世界も見てみたいと、書から離れた時期がありました。しかし、3年近く書から離れたことで、「自分が一生を賭けて取り組むのは書道しかない」とあらためて思うようになりました。
その後は大学時代に師事した成瀬映山先生※の教えの通り、まさに寸暇を惜しんで古典臨書(古典の手本を見て書くこと)に明け暮れました。山積みされた中国の書を片っ端から模写することで、それまでの自分にない筆の使い方や間の取り方を吸収することができました。師匠からは「芸術家である前に職人であれ、技術鍛錬を繰り返し行え。個性は出さないようにしていてもいずれ内側から滲み出てくるものだ」と厳しく教えられたのを思い出します。
※全日本書道連盟顧問を務め、文化庁入口の看板なども揮毫。
書で心掛けているのは、いかに自然体で呼吸をするように字を書くことができるか。
私が書と向き合う上で心掛けていることは「自然体で書くこと」。多くの方々が、書道家は作品をつくる時に鬼気迫る集中力で「うおーっ」という気合と共に書くイメージを持たれているようですが、私が心掛けているのは、いかに自然体で呼吸をするように字を書くことができるか。「ものすごい作品をつくってやるぞ!」なんて気負ってしまうと、人間の俗っぽさがすべて書に反映されてしまうような気がします。呼吸をする時に「よーし、呼吸するぞ!」とはなりませんよね。JWティーのようなお茶で心を落ち着けながら、自然にあるがままの状態で書を半紙に落とし込む。常にそれを目指しています。
例えば、冠婚葬祭などの際に筆ペンで名前を書かなければならない時がありますよね。自分の後ろに行列が出来ていたり、見知らぬ受付の人からじっと手元を凝視されていたりすると慌てて呼吸が浅くなり、書いた字が乱れたりしてしまいます。そのような場面でもスーッと気持ちを切り替え、落ち着いて自然な状態で字を書くことができるか。そのためには気持ちをコントロールする、ある程度の心の修練が必要です。イオスも心の健康を謳われていますが、書も一緒。常に落ち着いた状態をキープできるよう、普段の生活の中でお茶の時間を大切にしたり、あとは瞑想の時間を毎日持つようにしています。日によって短い時もありますが、今日は仕事が早く終わってゆったりとした時間があるなという時は20分くらい掛け、深い呼吸に意識を向けて瞑想します。
2014年、「第九回手島右卿賞」をいただきました。昭和の大家、故・手島右卿先生を讃え年間に1人の書道家に与えられる、書道界の芥川賞の様な位置づけの賞と言われています。受賞当時は、書はどうあるべきか、それに伴い1人の人としてどう生きるか、鑑賞者(作品を見る、聞く人)と書の距離を如何に近づけるか、そういった考えと向き合いながら筆と真摯に戯れている時期でした。受賞した喜びや感謝と共にとても気が引き締まる思いを抱いたことを覚えています。その思いを胸に、奥の深い書の道でさらなる研鑽を積む日々です。
▲手島右卿賞を受賞した作品『LOVE』。選考委員会からは「基本を踏まえた上での斬新な表現。意欲と可能性を感じる」と評された。
中国茶専門店で働いた経験を通じても、JWティープレミアムブレンドは別格。
最近、私が特に感じるのは普段の生活すべてが書に現れるということ。例えばどのようなものを食べるとか、どのようなものを飲むとか、どのようなことを心掛けて日頃の生活を送っているかとか、結局それらが精神につながっているのだと思います。その精神から生み出されるのが書。以前、私は妻に「僕の体はあなたの食事で出来ているから、僕の書はあなたの食事で出来ていると言っても過言ではない」と伝えたくらいです。そして、3年ほど前から飲み始めたJWティーは私の書道活動ならびに心と体の健康を支える不可欠なものになりました。夫婦ともども、朝から晩まで憑りつかれたようにJWティーを飲み続けています(笑)。2人ともボトルにJWティーを入れ、映画を観る時も、出張に行く時もひたすら飲んでいます。
日本の書道の源流は中国であり、書の歴史を勉強していくと、必ずお茶の文化も付いて回ります。その影響から、私は中国茶の専門店でアルバイトをしていたことがあります。店には中国茶が120種類くらいありました。中国茶は大きく分けると緑茶・青茶・白茶・黄茶・黒茶・紅茶の6種類があり、そこからさらに枝分かれしていきます。基本的に同じ茶の葉から作られるので、種類の違いは「発酵」の度合いによって変わるのです。不発酵なら緑茶、半発酵であれば青茶(代表的なのはウーロン茶)のように。来店されるお客様にも説明しなければいけないので、私がお茶を大好きだったこともありますが、当時とても勉強しました。香りが良いお茶、香りは普通だけど美味しいお茶、体を温めてくれるお茶、胃腸を整えてくれるお茶、などなど。これだけ膨大な種類のお茶に触れてきた私が、JWティーは飲み始めた瞬間からなぜか止められなくなってしまいました。特に日本専用のプレミアムブレンド。1度、妻がニューヨークに出掛けた際にネット通販で買ってきた米国のオリジナルブレンドを試したのですが、全然違う感覚に驚きました。プレミアムブレンドを飲むと味に何かものすごい特徴があるという訳ではないのに体が欲してしまいます。味が美味しいお茶は他にもあるかもしれませんが、プレミアムブレンドほどの量は飲めません。不思議ですね。カフェインも微量しか含まれていないので、何杯飲んでも疲れたりしないです。今では他のお茶を飲めなくなってしまい、JWティーで自分の体が喜んでいる感覚を愉しんでいます。
今年の後半にはパリやニューヨークでの個展を控え、海外にも書道の素晴らしさを伝える。
今年四月、テレビ朝日『徹子の部屋』に妻と2人で2回目となる出演をしました。1回目の時は、私の父親の書の師匠、私が師事した成瀬先生の書の師匠、黒柳徹子さんの書の師匠が、同じ青山杉雨先生※であることが分かり、黒柳さんが非常に喜んでくれていたというお話を聞き、出演することを決めた経緯があります。今回は初めて書を妻に伝えた時の話もさせていただきました。そして、今年の後半には海外での個展を企画しております。予定通り進めば、9月にパリ、10月にはニューヨークで開催します。今後は海外にも書道の素晴らしさを伝えていきたいと考えています。
※全日本書道連盟名誉顧問を務め、書家として日本でも数人の文化勲章受章者。
書道は心と体の健康にも良いと思います。書道界の重鎮と呼ばれる方々は長生きばかり。おそらく書の時に深くゆったりとした呼吸を行っていることと、頭と手先を使い続けるので脳に刺激が与え続けられるためなのではないかと思います。一般の方は墨汁を使用することが多いですが、私たちは硯で水の状態から墨を作ります。40分くらい墨をすっていると、鼻から墨の香りを感じつつ、呼吸が調うので体を良い状態に切り替えてくれます。私の活動を通じて、書道に目を向け、書と健康的な生活を楽しんでくださる方が増えるきっかけになればうれしいです。
1978年静岡県生まれ。大東文化大学文学部中国文学科卒業。希水會主宰。師・成瀬映山。書道家の両親の元に生まれ書を始める。2014年、第9回手島右卿賞受賞、2016年、浜松市親善大使「やらまいか大使」就任。『気韻生動』『Less is more』の精神を念頭に書作品、抽象画を制作。様々なロゴや題字も手掛ける。
中澤希水書道教室
・東京教室(恵比寿)
・京都教室(四条河原町)
・通信講座
・ワークショップ
活字専横の昨今、芳名帳やお手紙などを美しい文字でしたためたい方や、表現の向上を目指す方、教室の開講や作家志望の方まで全ての方々が「充分な理解の基で書けること」を目指し、実技と理論のバランスを調和させ学べます。参加費3,000円の体験レッスンも。
中澤 希水さん 公式ホームページ
http://kisui-nakazawa.com