京都大学医学部教授やオックスフォード大学医学部講師を務めた経験を持ち、「打つ手がない」と病院から見離されたステージⅢ〜Ⅳ期のがん患者さんたちの治療に向き合ってきた医学博士の白川太郎先生に、統合医療の未来やJWティーについて伺いました。
京都大学教授に就任直後、転換機が訪れる
2000年に京都大学医学部の教授に就くまでは西洋医学一辺倒でした。しかし、その年に転換期が訪れます。実は、教授就任直後の2000年はとても暇でした。なぜかと言うと大学教授に就く前、オックスフォード大学医学部講師やウェールズ大学医学部助教授などを務めイギリスにいたため、文部科学省に研究費の申請をしていなかったので、することがありませんでした。ただ、京都大学医学部教授という肩書きはありましたから、いろんなところに講演会に呼んでいただきました。
講演後の質問タイムになると、多くの方が手を挙げて、「主治医に内緒でこれを飲んでいます」とか、「取り上げられないように、黙ってこれを摂っています」とか言いながら、鮫の軟骨、キノコのエキスなどの健康食品をずらっと並べてきました。「ひえー、毎月いくら掛かっているの?」と聞くと、「10万円近く掛かっています」と。
当時は、私も遺伝子学を研究し世界の最先端医療を走ろうとしていた人間ですから、「こんなので治る訳ないでしょ」と言ってしまっていたんですが、全国どこで講演会を行なっても、同じような人が出てきました。だから、どうせ時間もあるのだから、学生に「こういうものが病気の治療に効かないというデータをとろうよ」という話をしました。いま考えると、ひどい話ですね(笑)。それで調べてみると、8、9割はダメでしたが、中には「ほほーっ」と思わせるものがあったんです。
結果、特定の病気に効くものが、世の中に確実に存在することが分かりびっくりしたわけです。それで、私はもともと京都大学で遺伝子学の研究をするための教室を任されていたんですけど、「統合医療」の研究をするという風に自分でテーマを変えてしまいました。そしたら、周囲の医学博士たちから、「最先端医療をリードする研究の場でけしからん」と喧々囂々たる非難の嵐が起こりまして。今でこそ、代替医療やサプリメントで健康を保つ・治療すると言っても文句を言う人は少なくなりましたが、今から15年前は誰もサポートしてくれる人がいない。孤立無援状態でした。
Ⅳ期のがん患者に効果的な4つの治療法
その後、大学教授を辞め、遺伝子で超早期にがんを発見するという遺伝子診断の会社に、社長兼研究開発本部長として呼ばれました。1日も家に帰らず、ずっと泊りこんで1年半くらい研究開発に没頭していました。ようやく、がん早期発見のためのキットが完成し、PET(陽電子放射断層撮影法)より10年も早くがんの可能性を見つけられると評価は上々でした。しかし、超早期にがんを発見できても、治療法がセットでないとまるで意味がないということが分かったんです。そのため、社長を2代目に譲り、治療のためのクリニックを開くことにしました。
がんは、Ⅰ期(早期がん)、Ⅱ期(進行がん)、Ⅲ期(進行がん後期)、Ⅳ期(末期がん、遠隔転移がん)とステージが分かれ、技術が進歩したためにⅠ~Ⅲ期であれば6、7割は助かるんですが、Ⅳ期だけ生存率が5、6%と極端に低くなるんです。これは私が医師になった30年前からずっと進歩がありませんでした。Ⅳ期とは、がん細胞がリンパ管を通して体中のリンパ節と他の臓器にも存在する状態です。そんな広い範囲のすべての臓器を手術で取り除いたり、放射線をあてることは不可能に近いため、低い生存率になってしまうのです。私はそこに焦点を絞り、全国からこれはという道具を集めて、どれが最もがん治療に効くのか調べました。検証した中で、現時点で有効性が高いと思われるのは、標準治療の有効な治療法にプラスして、「遺伝子治療」「免疫治療」「温熱療法」、さらに全身状態改善のための「栄養療法」を合わせた方法です。私はこれらの方法で、末期と言われるⅢ期~Ⅳ期のがん治療にこれまであたってきました。
医師同士が連携し、統合医療の組織作りを
『「余命3カ月」のウソ』を出版した医師の近藤誠先生やいろんな先生のおかげで、抗がん剤を安易に投与しないほうが良いというのは日本の方々にも認知度が高まってきました。しかし、首都圏でこそ統合医療をメインにしているクリニックはたくさんありますが、地方では一般の病院に頼らざるを得ません。さらに、現在の統合医療の最も大きな課題は、科学的手法が確立していない点です。
がんに侵されてしまった場合、統合医療をメインにしている開業医を訪れると、a先生は温熱療法、b先生は免疫治療、c先生は高濃度ビタミンC点滴療法と、みんな違う治療法を提案してしまうんです。すると、患者さんはどうしたらいいか途方に暮れてしまう。
一方の西洋医学を中心とした病院側は、その治療法が正しいかどうかは別として、肝臓がんと診断を受け、数値がある基準を超えていたら、第1選択抗がん剤はこれ、第1選択が効かなくなったら、第2選択抗がん剤はこれと、ぴしっとプロトコル(手順、手続き)が決まっています。
ですから、沖縄にいようが、北海道にいようが必ず同じ治療を受けて、同じ成績を期待できます。これが科学的手法です。しかし、統合医療にはそれがない。だから、みんな自分勝手に治療を施し、しかも同じ遺伝子治療、免疫治療でもあのクリニックは100万円、このクリニックは50万円と値段がバラバラだったりするんです。今後は、統合医療をメインにしている医師同士が連携して、組織作りを進めていくことが必要だと考えます。
JWティーは、以前私が担当したがん患者さんから教えていただきました。2011年に手術をして、けっこう壮絶ながんを経験している方なんですが、当時70歳近いのにバイオリンコンサートの補助要員として今日は横浜、明日は東京と飛び回っているので、びっくりしちゃって。それで、聞いてみたらJWティーが出てきました。
実は、私もイギリスのオックスフォード大学に留学していたので、JWティーのことは現地で知っていました。実際に飲んだことはありませんでしたが、JWティーについて詳しく聞いてみると、私の以前からの知り合いである自然療法師の小林びんせい先生や豊受クリニック院長の高野弘之先生も飲んでいたので、私も自然とJWティーを飲むようになりました。
クセがないので、楽に飲めますね。1日に10袋くらい飲む時もあるくらいです。あとは、出がらしの茶葉をもぐもぐ食べたりしているけど、それも美味しい。今後もっとJWティーについて研究していけたらいいですね。
白川先生の著書紹介
1983年京都大学医学部卒業後、京都大学胸部疾患研究所付属病院第一内科入局などを経て、呼吸専門の内科医として経験を積み、英国オックスフォード大学医学部呼吸器科講師も務める。遺伝子学、免疫学の研究者として、世界的な学術誌『ネイチャー』『サイエンス』に多数の論文を発表。
2000年京都大学大学院医学研究科教授に就任。2001年理化学研究所遺伝子多型研究センター、アレルギー体質関連遺伝子研究チームリーダー(非常勤)兼務などを経て、2008年長崎県に統合医療をメインとしたクリニックを開設し、院長に就任した経験を持つなど、精力的に活動中。