赤塚 高仁 さん(赤塚建設代表取締役)インタビュー

赤塚建設代表取締役 赤塚 高仁 さん

たくさんの工業化製品が使用され、健康を蝕む可能性のある現代の家の建て方に疑問を感じ、「住めば住むほど元気になる究極のECOハウス」を目指して活動する赤塚さん。現代の家の問題点や、いまの日本人が大切にすべき想いについてもお伺いしました。

大量生産を目的に使用された工業化製品

赤塚建設は以前、ハウスメーカーの下請け時代に学んだ「2×4( ツーバイフォー) 住宅」を“良い家”と信じ売り続けていたんですが、ある時、名古屋のログハウスの会社社長に米国シアトルへ連れて行ってもらい驚愕しました。日本人と所得がそんなに変わらない人たちが、2倍の敷地に2倍の大きさの家を建て、全館冷暖房が完備で、ガレージが2台以上ついている。なによりシアトルのベルビューやミルクリーク、街並みの美しさに感動しました。しかし、日本に飛行機で帰ってくる時に成田空港の上空から見下ろすと、まるでどこかの公共施設のように同じ家が並んでいる。米国は土地が安いと言いますが、これは土地だけの違いではないと思いました。それから私の模索が始まったんです。

考えてみると、住む家とは世界中どこの国に行っても民族の歴史と風土とアイデンティティーを表現する“ 文化” であるはずなのに、日本ではそうなっていない。調べていくと、大量生産を目的にたくさんの工業化製品を使用し、テレビや新聞などのメディアを通じてガンガン売っていくという自動車のような“産業”の中の1つに数えられていることが根本的に違うと思いました。

毎日500mlペットボトル2万本分の空気を吸う

では、「工業化製品を使わない家を作ったらどうだろうか」と考えたんです。そして、調べれば調べるほど、今の日本の住宅に使われている建築材料は、健康を蝕んでいくことが分かってきました。下請けで仕事をしていた頃、完成間近の住宅現場に入ると、頭が痛くなり、においもきつかった。あれは建物の建設や家具製造の際に使用される接着剤や塗料などに含まれる化学物質のにおいです。家中の空気に漂う、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロロエチレン等から発生する揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds:VOC)を毎日吸い続け、それが体の許容範囲を超えると「シックハウス症候群 (SickHouseSyndrome)」のように症状があらわれます。

当たり前すぎて有難さが分からなくなってしまっていますが、水は数日間なら飲まなくても生きていけますが、空気は数分止められただけで死にます。私たちは1日に500mlペットボトル2万本分の空気を吸うとも言われています。そのペースで化学物質を吸い続け、1回症状が出てしまうと、あとはその物質を体が感じただけで過剰に反応してしまうのです。

前例がないからやってみよう

代表的な材料で言うと、合板があります。合板とは、スライスした木を何枚か接着剤で貼り重ね、表面に木の模様をプリントしたもの。どこのハウスメーカーも、フローリング風の床材であるカラーフロアに合板を使用しています。賃貸とかの室内の仕様で、「フローリング貼り」と明記されていますが、ほとんどがこの床材です。表面に木の模様を付けてあるだけなので、絶対に反らないし、割れたりしません。誰でも使いやすいんです。一方、赤塚建設が使用している床材は100%の無垢で、反ったり、ひびが入り、使いにくい。けど、これって生きているってことですよね。例えば、水にそれぞれ合板と無垢の床材を入れて放り込むと、水の汚れがまったく違います。これを国は、「絶対に安全です」と言っているんです。これらの成分が揮発し続けるということは、家を換気しても空気はキレイにならないんです。私の試みは、これらを一切使用しない家づくりはできるのだろうかというところから始まりました。

それは、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と呼ばれ、私が師と仰いだ糸川英夫博士が「前例がないからやってみよう」というのが生涯のテーマだったので、前例のない建物をつくっていこうと進めてきました。結果、現在では目に見える箇所だけではなく、見えない下地にも全部自然のものを使用した家を建てています。しかも、大手ハウスメーカーのようにバンバン広告を打って販売しているわけではないので、その分コストも安く抑えられ、長持ちします。100年持つ家を当り前につくるのが私たちの使命。目標は、日本の住宅を“産業”から“文化”に変えることです。小さな工務店ですが、志は宇宙まで。

世界で最も長い歴史を持つ日本という国にまずは感謝

戦後、日本でも大量生産の気運が高まり、新しいものが素晴らしく、古いものはダメという流れができてしまった。すべてがそういうものに変わっていった結果、心身ともに調子を崩す人が増えてきてしまった。建材に使用される化学物質も、食べ物の添加物と似ています。今の時代は、無知が一番の罪です。「あのメーカーにやられた」と被害者ぶってみても、自分の健康はかえってきません。

最晩年の10年間を一緒に過ごした糸川博士は、ユダヤのこんな言葉を教えてくれました。「歴史を失った民族は必ず滅びる」と。民族の歴史を知らないということは、その民族ではないということです。最近は若い人たちの中にも、歴史を知らない危うさに気付き始めている人も増えてきている気がします。例えば、自分がいる会社のことを知らないで働く人っていないと思うんですよね。会社を興した人間にしてみても、自分の創業の理念を忘れると、会社ってどこかでつまずいてしまうのではないでしょうか。それと同じように、この日本、私たちの祖国が、世界最古の2675年続いている国だということにまず感謝すべきです。世界2番目に続いているデンマークでも1100年。なぜ日本が続いてきたかというと、良い国だったからですよね。「国民がみな家族のように仲良く豊かに暮らせる国にする」という建国の理念が貴ばれてきたからです。
イオスコーポレーションの石川社長とも、そのような想いを各地でお伝えしている中で、お会いしました。様々な関係性で出来上がっている私たちの社会。どんな人とつながってゆくか。まさに、それが生きることそのものと言えるかもしれません。一見無関係のように思える「家」と「お茶」。私には強いつながりが見えるのです。それは、石川社長の想いに、私が強烈に響き合えるからなのだと思います。JWティーは美味しいですね。毎朝、意識せずに飲んでいて、もはや日常のひとコマになっています。

赤塚建設株式会社
〒514-0016
三重県津市乙部775-1
TEL:059-226-6627
(月~金/ 9:00 ~ 17:00)
HP:http://www.akatsukakensetsu.co.jp/

赤塚さんの著書紹介

赤塚建設代表取締役 赤塚 高仁 さん
赤塚建設代表取締役
赤塚 高仁さん

1959年三重県生まれ、明治大学経済学部卒業。大手ゼネコンで営業を務めたあと、赤塚建設代表取締役に就く。
「所有から使用へ」というコンセプトで、定期借地権による世界標準の街づくりを事業化する。
現在、『古事記』の神話や教育勅語の精神を伝えるべく講演などを行う。また、日本の宇宙開発の父、糸川英夫博士に師事し、その遺志を継いで『日本テクニオン協会』会長を務める。
著書に『聖なる約束砂漠は喜び砂漠は花咲き』『続 聖なる約束 ヤマト人への手紙』がある。

ジェイソン・ウィンターズ・ティー