第1回

健康な体は健康な胃腸に宿る

日野原先生も胃腸が元気だから長生きした。

私が卒業した母校・京大の大先輩にあたる、日野原重明先生は残念ながら105歳でお亡くなりになりましたが、その数年前の同窓会の時には、「ステーキが好きだ」と豪語しておられました。この話は有名で、多くの方は、肉を食べたほうが長生きすると思っているかもしれませんが、そうではなく、肉を食べられるほどに、胃腸が元気だから長生きされたということです。健康な体は健康な胃腸に宿ります。

百寿者の腸内細菌は異なる点が多い。

年齢に伴う腸内細菌の組成変化 日本では齢100歳を超える百寿者は年々増加しております。慶應義塾大学では、「百寿総合研究センター」が設立されており、私も関わっています。そこでは百寿者の医療データ、血液などのサンプルを得ています。腸内細菌についても検討されており、百寿者の腸内細菌は私たちとは異なる点が多かったのです。例えば、一般的に、年齢とともにいわゆる悪玉菌とされる大腸菌は増え、善玉菌とされるビフィズス菌は減っていきますが、ある百寿者の方では、そのようなことがありませんでした。
103歳のSさん(女性)は、毎日定時に起床し、おしゃれをして、決められた時間に雀荘まで自分で行き、持参弁当を食べ、気の合った仲間と談笑しながら、麻雀を楽しんでおられました。規則正しい生活、十分な睡眠、適当な運動、仲間がいる、この行動はホルモンバランスを保つうえで良いことばかりです。このような生活態度に、健全な腸内細菌が宿り、そして健全な身体が培われたのではないかと思います。

慶應義塾大学医学部教授 伊藤裕先生
原稿執筆

慶應義塾大学医学部教授
伊藤 裕(いとう ひろし)先生

京都大学医学部卒業後、ハーバード大学、スタンフォード大学医学部博士研究員を務める。2003年に世界で初めて「メタボリックドミノ」を提唱。世界に先駆けて胃から分泌される「グレリン」、そのホルモンがミトコンドリアを元気にすると発見。メディアに多数登場。