暮らしの医学 健康辞典

第9回

食を正そう③

7月号からライフスタイル革新の要である“食”についてお話させていただいております。今号は、旬の食材が持つパワーと、氾濫する工業食材についてお話させていただきます。

食材の大切さ、旬を忘れると病気になる

皆さん、何気なく「旬」の食材は美味しいことを知っています。旬とは、その季節のエネルギーを最大限に活用して栄養素を凝縮させる力です。要するに旬の食材を食べれば、少ない量でたくさんの栄養素を摂れるわけです。農家の方に聞いた話ですが、夏に何も手をかけないで育ったトマトと、冬に手間暇かけて育てたトマトとでは、夏のトマトに栄養素も、うま味も遠く及ばないそうです。冬のトマトの栄養素は夏の7分の1程度とのことなので、夏には1個でまかなえる栄養素が冬では7個必要になるわけです。これが偉大なる「旬の力」なのです。旬を外れた食材は、見た目が同じものでも栄養素は乏しいと思ってよいでしょう。その乏しい栄養素で体づくりを続ければ、乏しい体ができあがるのは当然です。その季節ごとの旬の食材がなんであるのか、知識を習得することも健康への道筋となるでしょう。

工業食材の氾濫

人体の機能はかなり解明されてきているとはいえ、“小宇宙”と言われるほどに分からないことはまだまだたくさんあります。その小宇宙へ、体に良いからとお手軽な栄養素に飛びついて健康が手に入るほど単純ではないと理解してください。健康ブームは一向に衰えませんが、一見すると健康によさそうな製品が数多く店頭に並ぶようになりました。骨によさそうな加工乳の内容を見ると、ミネラルやビタミン、グルコサミンなどを配合したとあります。原材料名を見ると、生乳は50%未満でさまざまな添加物の名称が並びます。ポリフェノールが従来の5倍とか、レモン10個分のビタミンCを配合とか、天然食材では決してできない、この「配合」は企業にとっては打ち出の小槌で、大変便利なアイテムなのです。

また、多くの皆さんの舌は(脳は)化学物質により、すでに味がだまされてしまっています。現在は、「調味料(アミノ酸等)」が入っていない製品を探すことのほうが大変です。自宅で使っていたパック入りの出汁にも入っていたので驚きました。これは、いわゆる「うま味調味料」です。うま味は昆布や鰹節の出し汁や食材が発酵すると出現しますが、日本の食文化に深く根付いた日本人好みの味です。これを化学的に解明して工業的に似たものをつくり出したのです。ともかく、お弁当、加工品、お菓子、調味料に至るまで、ほとんどの製品に入っているので、国民はこの味に慣れてしまっているはずです。ある日、私の息子に「調味料(アミノ酸等)」の入っていないラー油(高級品)を探してきて食べさせたところ、「味がない」と文句を言いました。ショックでした。「灯台下暗し」です。このように、本物の味を知らない子どもがどんどんと育っています。企業も、不味いと言われないために必要がないと知りつつも入れてしまうのかもしれません。子どもたちへ本物の味を伝えていくことも大人の大切な役割だと思いますが、いかがでしょうか。

脳神経外科専門医 田中 佳 先生(たなか よしみ)

1960年、東京都生まれ。
1985年に東海大学医学部を卒業後、同大学附属病院脳神経外科助手を経て市中病院にて急性期医療に長年携わる。
日本脳神経外科科学会認定専門医として、脳神経外科診療を行いつつ、予防医学の教育講演活動に取り組む。

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